ゆいかおり『Bunny』

 

Bunny

Bunny

 

  95年生まれの小倉唯と93年生まれの石原夏織からなるユニット「ゆいかおり」の前作から2年ぶりとなる2ndアルバム『Bunny』。コンポーザーに前作から引き続いての前山田健一俊龍に加えて、大久保薫Elements Garden菊田大介、6月にそのEGを離脱した中山真斗などが参加しています。

 全体的に疾走感のあるロック的な曲が中心となっていて、彼女たちのフレッシュな若さがはじけています。前作『Puppy』が未成熟な幼さが目立つアルバムだったのに対して、応援だったり、未来への希望だったりと、今作は歌詞のメッセージも年齢相応の内容へと変化しています。今年4月に脱退したStylipSの活動によって得たクールな表現、アンニュイな表現などの歌唱のバリエーションもアルバムに還元されています。一方で彼女たちと同世代のアイドルである、ももいろクローバーZ℃-uteスマイレージなどと比べても、まだまだ子供らしさを残した部分も目立っています。

 前作の曲の速さの平均がBPM約155程度に対して、今作は平均BPM約175以上。とにかく速い曲が多く、Atari Teenage Riot的高速デジタルハードコアな#3"圧倒的なGO!!"に至ってはBPM200を超える速さ。

 #8"翼になるよ"は、今年5月リリースの小倉唯のシングル『Baby Sweet Berry Love』と同じく作曲・俊龍、編曲・Sizukの曲。俊龍/Sizukお馴染みのインギー的80年代HRハイトーンギターがメロディーを弾きまくるのはこの曲も同じですが、濃厚な甘さのBSBLと比べて力強く爽やかで、二人の突き抜けるようなファルセットが耳に残ります。音飛びしたかのようなブレイクなど、2番以降は仕掛け満載のアレンジが施されていて、俊龍≒Sizukは前山田健一ほどの記名性の高さはありませんが、とてもユニークなアレンジャーのように思いました。

 この#8をはじめ、#10~#12のようなハイスピードでロック的なややハードな曲調は、1stリリース後の最初のシングル『君のYELL』から提示された路線ですが、このアルバムでは現在の主路線であることが明確に示されていて、今後この路線で進んでいくのかなとなんとなく思いました。