Lisa Germano『No Elephants』

No Elephants

No Elephants

 

  USのSSW、Lisa Germanoのアルバム『No Elephants』。今作が12枚目のアルバムとなるようです。読み方はリサ・ジャーメイノのようです。

 この人を知ったのは2003年のアルバム『Lullaby for Liquid Pig』からで、足元から立ち上がってくる霧のようなウィスパーヴォイスに一発でノックアウトされました。あまり精力的に活動する人ではないようで、毎回今作がラスト作になるかも…と噂されながらも(実際に引退宣言が出されたことも)、また新作が届いたのは嬉しい限りです。

 今作もピアノ弾き語りが中心なのは変わらず、エレクトロニクスやフィールドレコーディングも取り入れつつ、アシッドフォーク的な非常に抑制された静謐の空間の中に彼女の歌声が漂っています。『Lullaby for Liquid Pig』『In the Maybe World』のようにほぼノンビートで残響たっぷりの、彼岸の世界から響いてくるようなアルバムからは、やや生活感を取り戻したスタイルですが、リスナーに緊張と集中を要求する作品であるのは変わりません。ヴァイオリンやアコーディオンも得意とする彼女、その弦楽器の倍音とヴォーカルが重なりあった時、恐ろしくも美しい世界が垣間見せます。その掠れた歌声は、可憐な少女にも、妙齢のセクシーな女性にも、達観した老婆のようにも聴こえてくるから不思議です。ひょっとして空から鳴り響く天使の声かと思えるほどの瞬間も訪れます。

 英語版のwikipediaを読むと、Smashing Pumpkinsのツアーサポートの参加が決まっていたのに、ツアー前夜にバックレたというエピソードがあるようで、かなりの曲者の人のようですね。