2013年良かったキャラクターソング

 キャラクターソングが面白いのはタイアップ重視の主題歌とは方向性が違って、キャラソンのみに名を連ねる作家も沢山いるところ。キャラソンはアイテム数が多く、追うのが大変な一方で新規参入も増えて、全体的な曲のクオリティも向上し続けています。

 有名どころでは前山田健一はもちろん、MONACAの神前暁・石濱翔・田中秀和の3人は「らき☆すた」「けいおん!」「アイカツ!」「這いよれ!ニャル子さん」などのビックタイトルでもお馴染みですし、ニコニコ動画の歌い手出身で自らもアーティスト活動するZAQ、トリッキーな曲作りがインパクト大のTom-h@ck、切なく疾走感のある曲を得意とする渡辺翔など、それぞれ得意分野を持った作家たちがキャラソンでも力を発揮しています。主題歌より作品への没入度が高く、演技も楽しめて、挑戦的な楽曲も多いところがキャラソンの魅力だと思います。低予算の曲も多くてハズレも多いので、(今年も沢山ハズレを引きました)ハズレ込みで楽しむのがキャラソンディグの楽しみ方かもしれません。

 いい曲を発見したら適宜追加していきます。

 

きっと青春が聞こえる

きっと青春が聞こえる

 



TVアニメ ハイスクールD×D NEW エンディングキャラソンアルバム!

TVアニメ ハイスクールD×D NEW エンディングキャラソンアルバム!

 



 

 今年は高田暁の曲に楽しませてもらいました。今年に入ってからも怒涛の量産体制。この作編曲の3曲だけでも彼の曲のグルーヴィーな魅力を堪能できます。かわいく楽しく、微かに漂うセクシーさ。歌の後ろで対旋律的に動くピアノやギターのフレーズも魅力的です。

 

THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL カーテンコール

THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL カーテンコール

 

  去年発売のBD/DVDの特典だったキャラソンが単独音源化。ミト入魂の「Slapp Happy!!!」はアイマスへの愛が溢れたボサノヴァ・サンバ。タイトルはドイツのアヴァンポップグループSlapp Happyから。特典版とはヴォーカルが変わったヴァージョン違いです。

 

 

  詞作編曲の佐伯YouthKは佐伯ユウスケ名義でもリリースしているSSW。普段はR&B系J-POPのミュージシャンにも楽曲提供しています。村川梨衣の溌溂とした歌声とソウルフィーリングのメロディーが意外に相性も良くてスタイリッシュに響きます。当該曲は2:27から。

 

TVアニメ「たまこまーけっと」キャラクターソングアルバム twinkle ride CD

TVアニメ「たまこまーけっと」キャラクターソングアルバム twinkle ride CD

 

  キルミーベイベーで復活を遂げたEXPOの2人を含む、マニュアル・オブ・エラーズによるプロデュースのキャラクターソングアルバム『twinkle ride』。シャープなキックとブーミーなベースを含めて山口優が一番今っぽい曲を書いているように思いました。エンディングテーマの「ねぐせ」も彼の手による一曲。

 

  • 『balance unbalance ~ホントウ ノ ワタシ~』皇紫音(CV:三森すずこ)(GJ部) 

 

  今っぽさで言えばこの曲も。テックハウスっぽいビートでグリグリとウワモノにエフェクトがかかって、Para Oneみたいでカッコイイです。作編曲の高阪昌至は、渡辺翔も所属する山下達郎の事務所スマイルカンパニー所属の作曲家です。

 

TVアニメーション きんいろモザイク サウンドブック はじめまして よろしくね。

TVアニメーション きんいろモザイク サウンドブック はじめまして よろしくね。

 

 強いキックを中心としたバウンシーなブレイクビーツに、華やかなブラスっぽいシンセが目まぐるしく動き回る、芳川よしのらしい一曲。子犬が戯れているようなキンキンした田中真奈美東山奈央の捲し立てる歌声と、頭韻を中心としたラップがビートの上ではじけます。なんかチャールストンを思い出す曲です。

 

 

「ロウきゅーぶ! SS」Character Songs 05 袴田ひなた(小倉 唯)

「ロウきゅーぶ! SS」Character Songs 05 袴田ひなた(小倉 唯)

 

 

   BPMが速くなってハードコアっぽくなったイーブンキックのハウスビートに、ラウンジっぽいシンセとチャイムが飛び交うPandaBoYによる曲。小倉唯のファンシーなウィスパーヴォイスが耳元で囁いているように聴こえてきて、聴いてるうちに気が遠くなってきます。

 


  やっぱり安定して良い橋本由香利。アニソン・キャラソンにいち早く渋谷系の風を送り込んだ第一人者の彼女による流石のソフトロック~ギターポップ。パーパパーのコーラスが可愛くて癖になります。

  

  •  『エール!!』寒咲幹(CV:諏訪彩花)&橘綾(CV:潘めぐみ)
TV アニメ『弱虫ペダル』 キャラクターソング CD VOL.2

TV アニメ『弱虫ペダル』 キャラクターソング CD VOL.2

 

  ミニマルなビートとユラユラとしたシンセ、女子二人の脱力ヴォーカルがCibo Matto(とBuffalo Daughter)まんまな曲。佐野電磁は二人にチボマットを聴かせて、こうやって素っ頓狂に歌えと指導したのか気になります。タイトルは「エール!!」ですが、エールって感じの曲調じゃないような気もします。

 

うたの☆プリンスさまっ♪シャッフルユニットCD 那月&トキヤ

うたの☆プリンスさまっ♪シャッフルユニットCD 那月&トキヤ

 

 

 谷山紀章宮野真守の歌手活動でも売れっ子二人によるデュエット曲。共に熱唱タイプの二人がこれでもかと歌い倒す暑苦しい曲で良いです。ちょっと笑ってしまうぐらいに濃厚でヴィブラート過剰の、谷村新司堀内孝雄のアリス状態。

2013年ベストの前に2012年声優アルバムベスト

 2013年のアルバム聴いてるうちに、これ去年のだったのか…というのに気付いて、後出しジャンケン的に2012年声優アルバムベストです。(リリース順)

 

秘密

秘密

 

  キャリアを重ねてもこれだけ意欲的で挑戦的な作品が作れるということを示したアルバムでした。彼女が曲をブン回しているのか、リスナーが振り回されているのか。

 

  • 中島愛『Be With You』(flying DOG / Victor Entertainment)
Be With You

Be With You

 

 ヴォーカルの切れ味もさらに磨きがかかって、既に堂に入った感じがある2nd。シングルのカップリングも含めて、ソウル的な楽曲も良いなーと思った作品でした。Rasmus Faberとの"TRY UNITE!"で確立させたハウス路線もなんとか継続させてほしいです。

 

  • 悠木碧『プティパ』(flying DOG / Victor Entertainment)
プティパ

プティパ

 

 1stからいきなり独自の世界観を確立させ、この後の2ndリリースでその世界観をさらに深化させました。トイトロニカ風の曲はヴォーカルもかなり演技がかっていて、楽しくて好きです。

 

FANTASISTA

FANTASISTA

 

  宮野真守はいつもクオリティの高いアルバムをリリースしてくれますが、『FANTASISTA』はまさかのKREVAも迎えて、エンターテイメント性の高いアルバムになっています。基本はElements Gardenのインダスロック系とニューエレクトロ系。この人の強弱の効いたダイナミックなヴォーカルは、ファンクとかが合うと思うんですよね。

 

FRAGMENTS

FRAGMENTS

 

  kz(livetune)、矢野博康(ex.Cymbals)、fu_mou、前山田健一ニルギリス、渡辺翔、クボタマサヒコ(kuh、ex.BEAT CRUSADERS)、Novoiski(Moonbug)と豪華な布陣を敷いたアルバム。新しい方向を模索し続ける攻めの姿勢に感服します。欲を言えば充実した声優業での引き出しの多さが反映されたらなーと思います。

 

kokohadoko【通常盤】(DVD付)

kokohadoko【通常盤】(DVD付)

 

 アートワークから北欧の森を意識したような、アンビエントな楽曲が並ぶアルバム。eufoniusがメインに楽曲提供していて、mumのような幻想感のあるフォークトロニカ的要素が散りばめられたミニアルバム。

 

  • 池澤春菜『ファンダムジカ』(WAVEMASTER HAPPIES)
ファンタムジカ

ファンタムジカ

 

 毎回コンセプトを立てて作りこんだアルバムをリリースする池澤春菜のアルバムシリーズの第4弾。歌を通しての演技という面で、声優アーティスト的スタイルが確立される以前の声優アルバムのコンセプト主体のスタイルを思い出しました。

 

RE;STORY

RE;STORY

 

 2回のレーベル移籍を経ての初のフルアルバム。自身の嗜好も反映された、シンフォ~メロスピ~スラッシュなどをフォローしたメタル色全開のアルバム。本人が思うようにやれている感じが何より楽しいです。曲毎に声色を変えて細かく歌い分けしていて、ヴォーカリストとしてもやっぱり器用な人なんだなと再認識したアルバムです。

 

My stride

My stride

 

 勢いのあるUSロック~パンク、フォークを基本にした王道的な内容の1st。丁寧な歌唱が印象的で、優等生な面が出た爽やかな後味のアルバムです。個性的な面々の集うスフィアですが、ビートルズにおけるジョージ・ハリスンのような安心感を与えてくれる存在の彼女です。

 

「春の夢」Sanctus/Maria Kawamura

「春の夢」Sanctus/Maria Kawamura

 

 永野護監督作品の映画『ゴティックメード』の公開に合わせて、ボーナストラックを加えてリマスタリング再発された91年のアルバム。細野晴臣も楽曲提供していて、アンビエントでエキゾチックなムードのある作品です。坂本龍一の80年代中期~後期の作品『音楽図鑑』『Beauty』や、鈴木惣一朗のWORLD STANDARDのアルバムを思い出すような内容。リヴァーヴの効いたヴォーカルが心地よい、声をフィーチャーした声優らしいアルバムです。

ゆいかおり『Bunny』

 

Bunny

Bunny

 

  95年生まれの小倉唯と93年生まれの石原夏織からなるユニット「ゆいかおり」の前作から2年ぶりとなる2ndアルバム『Bunny』。コンポーザーに前作から引き続いての前山田健一俊龍に加えて、大久保薫Elements Garden菊田大介、6月にそのEGを離脱した中山真斗などが参加しています。

 全体的に疾走感のあるロック的な曲が中心となっていて、彼女たちのフレッシュな若さがはじけています。前作『Puppy』が未成熟な幼さが目立つアルバムだったのに対して、応援だったり、未来への希望だったりと、今作は歌詞のメッセージも年齢相応の内容へと変化しています。今年4月に脱退したStylipSの活動によって得たクールな表現、アンニュイな表現などの歌唱のバリエーションもアルバムに還元されています。一方で彼女たちと同世代のアイドルである、ももいろクローバーZ℃-uteスマイレージなどと比べても、まだまだ子供らしさを残した部分も目立っています。

 前作の曲の速さの平均がBPM約155程度に対して、今作は平均BPM約175以上。とにかく速い曲が多く、Atari Teenage Riot的高速デジタルハードコアな#3"圧倒的なGO!!"に至ってはBPM200を超える速さ。

 #8"翼になるよ"は、今年5月リリースの小倉唯のシングル『Baby Sweet Berry Love』と同じく作曲・俊龍、編曲・Sizukの曲。俊龍/Sizukお馴染みのインギー的80年代HRハイトーンギターがメロディーを弾きまくるのはこの曲も同じですが、濃厚な甘さのBSBLと比べて力強く爽やかで、二人の突き抜けるようなファルセットが耳に残ります。音飛びしたかのようなブレイクなど、2番以降は仕掛け満載のアレンジが施されていて、俊龍≒Sizukは前山田健一ほどの記名性の高さはありませんが、とてもユニークなアレンジャーのように思いました。

 この#8をはじめ、#10~#12のようなハイスピードでロック的なややハードな曲調は、1stリリース後の最初のシングル『君のYELL』から提示された路線ですが、このアルバムでは現在の主路線であることが明確に示されていて、今後この路線で進んでいくのかなとなんとなく思いました。

Limited Express(has gone?) 4th album 『JUST IMAGE』release tour in NAGOYA

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 11月3日(日)の3連休の真ん中の日曜日に、東京の3人組バンドLimited Express (has gone?)のレコ発記念イベントを企画しました。場所は名古屋・栄(矢場町)のspazio ritaとなります。皆さんお越しいただければ幸いです!よろしくお願いします!

※本公演は終了しました。ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました。

Limited Express (has gone?) 4th album 『JUST IMAGE』release tour in NAGOYA


11/3 (日) at 名古屋・栄 spazio rita
open 17:30 / start 18:00
charge 3000円(1D付) / 学割 1500円(1D付・要学生証提示)


出演: Limited Express (has gone?) / indian no echo sign bine no! / FREE CITY NOISE / AUDIO BOXING

※その他詳細はarcoriver@gmail.comまでお願い致します。 

 



Limited Express (has gone?)

今年で結成14年!日本を代表するハードコアバンドLimited Express (has gone?)

 ボロフェスタ主催・音楽配信サイトototoy編集長・JUNK Lab Records主宰・リアル脱出ゲームのSCRAPプロデューサーと、様々な肩書を持つギターのJJ。ニーハオ!のリーダーも務めるベースYUKARI。こちらも日本を代表するパンクバンドJOYのメンバーだったTKD。この3人の持つ振り幅の大きいアイデアが持ち込まれた、まさにワールドワイドに奇想天外なオルタナティヴハードコア!

 1stアルバムはJohn Zornの主宰するアメリカはNYのレーベルTZADIKから、2ndは音楽評論家の高橋健太郎氏主宰のレーベルMemory lab、3rdは自主レーベルから、とリリースレーベルも変遷を遂げてきましたが、過去最高傑作の4thアルバム『JUST IMAGE』が今年8月にlessThanTVよりリリース。これまで以上に強靭なグルーブで頭を突き刺しロックする、今まさに全盛期を迎える彼らのライブを目撃してください。


Limited Express (has gone?) 2013/05/03 @横浜 ... 

◆indian no echo sign bine no!

 ヴァイオリン・ベース・ドラムという特異な編成の大阪の3人組。宙を舞うエレクトリックヴァイオリンと、土着的リズムが特徴で、時には呪詛の声に、時には子守唄とも聴こえるような歌声とともに、ダビーなディストーションを浴びせかけます。
 関西アンダーグランドシーンのバンド達が伝統的に持つ狂気を内在しながら、ポストパンク的な身体性と暴力性を兼ね備えていて、そのライブはまるでシュールレアリスティックな悪夢を、音によって具現化したもののようでもあります。バイオリンの中尾さんはDODDODOバンドにも参加しています。


INDIAN NO ECHO SIGN BINE NO! 2011.5.22 - YouTube 

◆FREE CITY NOISE

 名古屋の男女4人組オルタナティヴロックバンド。SONIC YOUTH~Jesus Lizardからの影響を感じさせる、バーストするジャンキーロックサウンドは、ダークな耽美性を持っています。楽器をひたすら弾き倒す彼らのライブには、ある種のストイックな理想と美しさを感じます。

 
FREE CITY NOISE - YouTube


◆AUDIO BOXING

 ラップトップ&ベース+ツインドラムの編成によって、ゼロ年代のクラブミュージック・ベースミュージックをヒップホップ的解釈でもって提示しなおす3人組ユニット。乾いた生ドラムが生み出す響きの快楽とリズムのズレが、彼らの存在の特異性を浮き上がらせています。

 
AUDIO BOXING - Growl feat. ferri - YouTube