「明日、君がいない」「フランドル」

「明日、君がいない」
オーストラリアのムラーリ・K・タルリの初監督作品。2006年カンヌ映画祭ある視点部門出品作品。原題『2:37』
撮影時19歳だったタルリ監督の、同情的であり悲しみもあり怒りもある、当事者からの視点が痛々しい。
当人の異変に周囲が気づいた時にはもう手遅れで、後悔だけが残るという実感が込められている。


「フランドル」
第2作『ユマニテ』でもカンヌ映画祭審査員グランプリを受賞したブリュノ・デュモン監督作品。2006年カンヌ映画祭審査員グランプリ受賞作品。
「戦争の中の死」という恐怖が突然投げつけられる。悲しみや虚しさを引き立てるような音楽もなく、乾いた映像が淡々と映し出されていくのが、逆に静かに深い衝撃を与える。どこかファンタジックな印象もある。
ノンフィクション的なフィクションであり、日常と戦争が溶け合っている世界の現状を映し出しているようにも思える。
戦争は戦場の男にも、残って男を待つ女にも大きな傷を残す、ということなのだろうか。