Shy Girls 『Timeshare』
- Shy Girls 『Timeshare』(Hit City U.S.A.)
アメリカはオレゴン州ポートランド在住のシンガーソングライター、Dan VidmarによるソロユニットShy Girls。inc.といい、このShy Girlsといい、抑制されたアンビエントソウル~R&Bに本当に弱いです…。既にFADERでも「Miguelとinc.の中間点」と評されていて、彼らやRhyeと近い流れにありながらも官能的かつストイック。ニュークラシックソウルからの影響を大きく感じる人物です。
Shy Girlsの6曲入であるこのEP『TImeshare』は、Miguelの直情的なヴォーカル、inc.の枯れたサウンドと比較すると、より開放的な指向を持っているように感じられます。#4"Secound Heartbeat"にある爽快なキャッチーさから分かるのは、ポピュラリティにも目が向けられていること。自分としてはD'AngeloよりもPrinceに近いものを感じました。といってもセクシーさ全開というわけでなく、Shy Girlsという名前もそうですが、恥ずかしがり屋の女の子がベッドの上では大胆になるのに興奮するというか、全開のエロさよりもチラ見えのエロさの方がよりセクシーに感じるというか。息継ぎやヴィブラートの終わりなどの要所でエロさが顔を出してきて、連鎖的にギターのカッティングやキーボードのコードバッキングすらもエロく感じてくるから不思議です。
そして揺らめくようなヴォーカルやシンセの処理にはChillwave~Vaporwave的なアーバンな雰囲気も少し匂わせていて、新世代らしさもしっかりアピールしています。
2013年良かった録音物
- inc.『No World』 (4AD)
自分の思うR&Bやファンクやソウルでこういう音があったら最高っていうのを実現してくれたユニットです。大きく開いたクレバスから霧のようにこぼれる色気が最高に心地いいです。
- SICK OF RECORDER『蝙蝠対仔猫 / 遺書の食べカス』(stiffslack)
USインディーロックを聴くようになったきっかけの一つでもあるバンド、名古屋のシックオブレコーダーが8年ぶりに復活し、7inchシングルまでリリース。少年のようなピュアな歌声、浮遊感ある揺らめくギター、バシバシツボを突きまくる力強いドラム、全て完璧で最高です。フィッシュマンズ好きな人も、MODEST MOUSE好きな人もOGRE YOU ASSHOLE好きな人もみんな聴きましょう。
- David Grubbs『The Plain Where The Palace Stood』(Drag City)
ex.Squirrel Bait、Bastro、Gastr del solの、敬愛してやまないDavid Grubbsのアルバム。朴訥とした歌唱、流れるようなギター、アブストラクトなノイズ、ドローンエレクトロニクス、そしてディストーションギター。過去のキャリアを統括したような内容で、侘び寂びの効いた音世界が頭の中で無限に広がっていきます。
- Rhye『Woman』(Polydor)
ヴォーカルの掠れた声の感じは、Sade好きな人は好きなんじゃないでしょうか。軽い感じというか情念を込めすぎてないのが、楽に聴けて好きです。ちょっとディスコっぽい曲もあってそれも良いです。
- Seiho『ABSTRAKTSEX』(Day Tripper Records)
Day Tripper Recordsの首領で、Sugar's Campaignも良かったSeihoのアルバム。ポストダブステップやR&Bの影響が大きく、耽美的な陶酔感が残ります。
- SUN CHILDREN SUN // THE ACT WE ACT - split (WESUCK)
今年はジアクトのライブも全部良かったし、「Revolution in the summer」のMVも良かったし、このソノシートもアーント・サリーの「全て売り物」のカバーが入ってるしで、かなり良かったです。
- Rustie『Triadzz / Slasherr』(Numbers)
「Slasherr」はどの流れで聴いても、テンションがブチ上がる曲。
- 藤井洋平『Banana Games』(My Best Records)
こんなに凄い人だったなんて…。アルバム聴いてぶっ飛びました。聴くほど癖になる、ネッチョリヴォーカルと艶やかなグルーヴ。「ママのおっぱいちゅーちゅーすって、パパのスネをかじっていたい」最高です。ミックスIllicit tsuboi!マスタリング中村宗一郎!
- PAISLEY PARKS『Бh○§†』(Pan Pasific Playa)
JUKE作ってる人ではPAISLEY PARKSとSatanicpornocultshopが変人度高い上に異常なテンションの高さでハマりました。
- Various Artists『160OR80』(THAILAND BOOK STORE)
CariosとDKXOとPICNIC WOMENの曲、ベタですけど好きなんです。
- daoko『Hyper Girl - 向こう側の女の子』(LOW HIGH WHO?)
とにかく声がかわいくて…。思春期らしい暗いリリックと感情的なフロウは志人の影響も感じます。
- spazzkid『Desire 願う』
キュートでドリーミー。CD欲しくなって、本人にお願いして送ってもらいました。
- Caetano Veloso『Abracaco』(Universal)
- アーティスト: Caetano Veloso
- 出版社/メーカー: Universal Portugal
- 発売日: 2013/02/05
- メディア: CD
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この人のキャリアの中で最高傑作ってわけじゃないですが、この程度のレベルなら軽々出せるっていうのも驚きです。
- MILK『SMALL SONGS』
今年はカセットけっこう買いました。MILKは人気出ましたね。
- SAINT PEPSI 『Hit Vibes』(KEATS//COLLECTIVE)
SAINT PEPSIって音のヌケは良くないかもしれないですけど、気持よさって言う点で、すごい音が良いと思うんですよね。
- Annabel『スモルワールドロップ』(Lantis)
RDGオープニングテーマ。2013年で一番好きなオープニング曲でした。作編曲のmyuの才覚迸る曲。美しい響きが染みわたります。
2013年声優アルバムベスト(その2)
その1に続いてその2です。
ゆいかおりの小倉唯・石原夏織を含む4人組StylipSの1stアルバム。この作品を最後に2人は脱退し、そのためか1stからベストアルバムとなりました。インスト曲とメンバーの能登有沙のソロ新曲が入るなどアルバムらしさの体面を整えた形跡が窺われます。ダンスユニットということもあり、アップテンポでビートの強い曲が続くアルバムです。高田暁、若林充、山口朗彦らのLantis作家陣が中心にソングライティングを担当しています。
グルーヴィなホーンサンバロック"Choose♥me ダーリン"を含むシングル曲はもちろんですが、#6"Fragile Crazy"~#7"Honey Groove"のニューエレクトロ風の曲が続く流れは、ハードなトラックに乗るキュートなヴォーカルが鮮やかなコントラストを生み出しています。特にビブラートの効いた松永真穂の迫力あるテノールヴォーカルと、パンチのある力強い石原夏織のヴォーカルが目立ち、独自の魅力となっています。
- 豊崎愛生『Love letters』(Music Ray'n / Sony Music)
自身の意向や嗜好を感じさせる曲をリリースしている豊崎愛生。今作はChara、安藤優子、Rie fuなど女性SSWたちを迎えて、アコースティックな響きを重視したアルバムになりました。さらにミト(クラムボン)、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、永積崇(ハナレグミ)らも楽曲提供しています。
アップテンポな曲もありますが、全体的に内省的な表現が目立っていて、Norah JonesやJulie Doironなど、しなやかさの中に芯の強さを秘めたシンガーたちを思い出します。アーティスト的な近寄りがたい存在を目指すよりも、等身大の親しみやすさへと着地しているのが彼女らしい方向性だと思いました。
永積崇の手掛けた#12"true blue"は、チェロとギターによるアシッドフォークな一曲。フィールドレコーディングも取り入れた緊張感あるはじまりから、歌が入るとリラックスした雰囲気になっていくのが、彼女の声の持つキャラクター性だなと思いました。
- 坂本真綾『シンガーソングライター』(flying DOG / Victor Entertainment)
豊崎愛生とは逆に、その声のキャラクターに神秘的な存在感と凛とした表情を宿らせる坂本真綾。Mike Kinsella(ex.Cap'n Jazz、ex.American Football)のソロユニットOwenへの愛を明かすなど、インディー・ロック、フォーク周辺の彼女のリスナー体験が今作の制作の元になっているように思いました。作詞作曲を初めて全て彼女自身が手掛け、アレンジを河野伸と渡辺善太郎が担当。
河野伸アレンジの曲は叙情的でウェットに包み込むような音ですが、渡辺善太郎の曲はドラムもギターもサラッとしたドライな仕上がりになっていて、それぞれのアレンジャーによって少女のような内省的な部分と、彼女の自立した女性の部分の二面性が交互にあらわれています。
Vashti BunyanやCat Powerのような孤高のアーティスト道を歩みはじめた坂本真綾。決して派手ではないアルバムですが、徐々にジワジワと効いてくるアルバムです。
- 花澤香菜『Clarie』(Aniplex / Sony Music)
ROUND TABLE北川勝利が声優界きっての激甘ヴォイスの持ち主である花澤香菜のポテンシャルを存分に引き出した1st。彼女のウィスパー・ヴォイスは相対性理論のやくしまるえつこやカヒミ・カリィの声をより甘くしたような、清楚さと優しさを漂わせるこれぞ声優的というもの。
彼のアレンジよる#1"青い鳥"や#3"星空☆ディスティネーション"などは、Burt Bacharachなどのオールドスクールなポップスへの憧憬を感じさせる流麗なストリングスと、彼女の甘い声が組み合わさり、少年漫画に出てくるような正統派文化系少女を体現したイメージが立ち上がってきます。
演技的な歌唱をストレートに展開し、パーソナリティーをさらけ出すことなく、曲毎に設定された少女像を演じきっていて、「Clarieにおける花澤香菜」という想像上のキャラクターのアルバムという趣を感じます。
小林俊太郎と沖井礼二のプロデュースによる1st。
川本真琴がデビュー前に書き溜めていてリリースされていなかった曲"Go インスピレーション War"が提供された#5"G.I.W."は、初期川本真琴が憑依したような鮮烈でファンキーな曲。恐らくデモ通り川本真琴そっくりの節回しで歌っているんですが、息遣いやヴィブラート、強弱の付け方の部分に竹達彩奈らしさが漏れだしています。他にも#12"春がキミを綺麗にした"を川本真琴は提供し、モタリ気味の彼女のヴォーカルに跳ねまわるような軽やかさをもたらしています。
個人的にはやっぱり末光篤による#4"Yes-no"と#13"♪の国のアリス"が、シンプルなメロディーかつパワフルなリズムで、迷いなく彼女のヴォーカルが飛び込んできて好きです。
演技的なヴォーカルという部分は変わらないのに、奔放なイメージが残り、彼女のパーソナリティーを強く感じるのが、花澤香菜のアルバムと対照的で面白く感じました。
1stから約1年半ぶりの2ndアルバム。1stはUSロックな内容のアルバムでしたが、今作はハウスなどにも手を出しながらも、そのロックな流れの延長線上にあります。
今作は曲の表情がクルクルと変わっていく意外にも挑戦的な内容で、特にアルバム後半、#8"くりかえして"は、Radioheadかのようなディレイがかったディストーションギターが印象的な、メランコリックなムード漂う曲。#9"僕は浮かぶ"はKinks、The Whoなウォームなバンドサウンドの60'sクラシックロックな一曲。ラスト曲#10"雨のちスピカ"では、シンセとリバーブギターが宙を舞うスカロックへと着地していきます。子供のように無邪気でキュートな歌声が、ダークさやアンニュイさへと反転して響いてくる瞬間はさすが役者だなと思います。
- 松来未祐『white Sincerely』(HOBiRECORDS / メディアファクトリー)
入れるか迷いましたが、やっぱり好きな作品。ラジオの企画から飛び出した、松来未祐の初の個人名義アルバム。marbleのmiccoと菊池達也が全曲サウンドプロデュース。marble自体も男女ユニットのピチカート・ファイヴ編成の、その影響下にあるユニットで、#1"White Sincerely"、#4"Dream in Dream"、#7"呼吸"などはラウンジや50's~60'sポップスの影響の大きいネオ渋谷系サウンドになっています。
彼女の穏やかで品の良い声はややもするとトラックに埋もれそうになりますが、どの曲も全力で熱唱しているのが伝わってきて、彼女の真っ直ぐな姿勢というか、アティテュードが伝わってくるアルバムです。
去年今年になって、オタク系音楽と渋谷系(含むポスト渋谷系)の接近が注目されました。2007年頃からはじまった、この「アキシブ系」を持ち上げる動きは、メインストリームに対するアンチテーゼなアンサーとして解釈していましたが(最近はメインストリームに回収されていっているように思う)、現在のような大きなムーブメントになったのは、橋本由香利や北川勝利が地道に素晴らしい仕事を重ねてきたことが大きいと思います。
2013年声優アルバムベスト(その1)
早いですが、今年はいいアルバムがかなりあったので、その1としてまとめました。
2013年上半期の内容と一部重複していますので、ご了承下さい。
正確には2012年のアルバムですが、12月26日発売だったので2013年扱いにしました。ヴォーカルのTa_2(鈴木達央)とペインターのYORKE.のユニットOLDCODEX。ギターとともに主な楽曲制作を担っていたR・O・Nが脱退し、代わってLUNASEAのINORANがサウンドプロデュースを務めた2nd。スクリーモ~メタルコアとパンクの影響が強かった今作以前に比べて、オルタナ~エモ的な方向に変化したフルアルバムです。ダイナミックな激しさが特徴のR・O・Nの楽曲も今作に含まれていますが、むしろ熱を内に秘めたようなクールな曲がひときわ目立っています。
Sunny Day Real EstateやMineral、The Appleseed Castのような、轟音ギターが壮大に鳴り響く#6"Achromatic Habit"と#9"Elephant over"は、高らかに歌い上げる一方で、噛みしめるように囁くヴォーカルも印象的で、鈴木達央の歌唱表現の進化が感じられます。
- 國府田マリ子『絶対的energy☆キラッ』(HAPPY HAPPY HAPPY RECORDS / BounDEE by SSNW)
声優界のディーヴァといえば笠原弘子と椎名へきる、そしてこの國府田マリ子です。15枚目のアルバムはインディーの自身のレーベルから。井上うに、イズミカワソラ、西脇辰弥など彼女の作品ではお馴染みのメンバーが再集結しました。今作も自身が全作詞を担当しています。
前向きな人間性やポジティヴなメッセージが目立つ人ですが、今作に限らず彼女のアルバムを聴くとシリアスで内省的な表現も得意としているのが分かります。
今作の#3~#6では、繊細なヴィブラートも駆使し、ポジティヴ/ネガティヴな感情が一体となって曲の中に詰め込まれていて、彼女の音楽に向き合う真摯な姿勢とキャリアの重みを感じます。特に井上うにによる#4"穢れなき花"は、冒頭からほぼピアノと歌のみで進む、静謐かつ緊張感溢れる仕上がりで、2人の勝手知ったる信頼関係が伝わってきます。
#6"明日への階段"も、軽い気怠さを含んだムーディーなアーバンソウルがいい感じで、既に彼女の存在感はKate BushやSuzanne Vegaのように、唯一無二の領域に入ってきているように思います。
最初のCDリリースから8年経っての初フルアルバムリリースで、自身の音楽活動の総決算となった1stアルバム。manzoと雅大などが楽曲提供しています。
シンフォニックメタル~メロスピ・メロパワ~メタルコア的なヘヴィなギターで押しまくる曲に、甘くねっとりとした彼女のヴォーカルが乗るという、濃厚な味付けがインパクトあるアルバムです。仄かに耽美的な雰囲気も漂わせています。
#2"小さな恋のメロディ"は、筋肉少女帯のナンバーのカバー。この人も大槻ケンヂ信者だったのか…と思いながらも、声優らしく男女パートを歌い分けながら、オリジナルに比較的忠実にアレンジし、その愛を表現しています。
#12"SAVE THE WORLD"は、ブギウギをフィーチャーした跳ねるようなリズムが特徴の一曲。彼女の粘着質なヴォーカルに軽やかなシンコペーションがハマっていて、今っぽい響きとオールドスクールな雰囲気がいい塩梅にミックスされた、とても好きな曲です。
- 三澤紗千香『ポラリス』(WARNER HOME VIDEO / Warner bros. Entertainment)
ポラリス (劇場版「とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟 」劇中歌 )
- アーティスト: 三澤紗千香,井内舞子,中沢伴行,fu_mou
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2013/02/20
- メディア: CD
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劇場版「とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟-」のタイアップアルバムとして、昨年のデビューシングルに続いてリリースされた三澤紗千香のミニアルバム。I'veの中沢伴行と井内舞子、fu_mouが楽曲提供&サウンドプロデュースしています。fu_mouは黒崎真音やDJ WILD PARTYも所属する事務所「一二三」の所属で、Maltine Recordsからもリリースしているトラックメイカー。
fu_mouのエレクトロハウス~EDM以降を感じさせる、ファットなベースと強力なキックからなるソリッドなトラックは、三澤紗千香のアクの少ない清冽な声と相まって、ある種の清純さを演出しています。パキッとドライな響きのトラックは、ディレイ・リバーブ・ボーカルエフェクトを多用するI'veのトランシーな作風とは対照的で、陶酔感よりもフィジカルな爽快感が強く残ります。
- 多田葵『ポップミュージック』(ScrumStaff / BounDEE by SSNW)
この人は声優からは実質引退されているんですが、アルバムのクオリティに敬意を込めてここに入れさせていただきます。Swinging popsicleの平田博信、同人でも活動する流歌、ボカロPのでか大が参加。ボーナストラック・再収録を除く全ての曲を自ら作詞作曲しています。
Swinging Popsicleの音楽性にも近い、Cardigansのようなソウルテイストを含んだソフトロック~ピアノロック。自らの率直な言葉・内から湧き出る自然な旋律を歌っていて、誇張や作為の薄さが日常にすっと馴染んできます。ヴィブラートやフェイクを多用してもしつこくなることなく、サラッと流れて染みこんでいきます。
過剰に華美になったり、変に戦略性に走ったりすることなく、まっすぐで真っ当にいいアルバムをドロップしてくれた彼女の真摯な姿勢に感心しました。
- 相沢舞『moi』(Victor Entertainment)
「5000枚売れなければ次のリリースはない」という本人の告白も含めて、今年1番の衝撃の作品だった相沢舞の1stアルバム。fu_mouによる先行シングルからは想像のつかない内容の完全J-ROCK仕様アルバム。
school food punishment蓮尾理之のジャジープログレエモな#2"Speech Balloon"、そしてbuzzGによる#3"タイムカプセル"から#4"1572"と連なる、華麗にバーストするビューティー・エモはRainer Mariaのようでもあり、可憐と熱情を核にしたこの3曲のインパクトが強烈です。
実はbuzzGのアルバム『Symphony』にもヴォーカロイドたちに混ざって相沢舞のヴォーカルがフィーチャーされている曲が1曲あるのですが、このアルバムと同じ路線でギターとヴォーカルが爆発するエモい曲で大好きです。
私は相沢舞さんの次のリリースを待っています。配信シングルでも同人でもいいから出して下さい!
- 宮野真守『PASSAGE』(KING RECORDS)
宮野真守の1年半ぶり4thアルバム。#1"UNSTOPPABLE"からドラムンベース、ブロステップなワブルベースも飛び出す大箱仕様のエレクトロ。アルバム通してスケール感の大きい曲が多くなり、ホールミュージシャンに成長した自身に対する意識の変化なのかな?と思いました。引き続いてのEDM~ニューエレクトロ、R&B路線も健在です。
#5"愛の詩 ~Ulyssesの宴~"では、期待していたファンク曲が実現。ビックバンドジャズファンクを披露していて、彼の奔放でパワフルなヴォーカルが炸裂しています。しかし、セクシーさを匂わせながらも健全な清潔感を保っているのが彼らしいと思います。
- 悠木碧『メリバ』(flying DOG / Victor Entertainment)
新居昭乃・保刈久明というアニメ界隈エレクトロニカシーン筆頭のコンビを作家陣に迎えた悠木碧のアルバム。ツジコノリコ、pianaの作品のようなドリーミーで、チャイルディッシュ&ガーリーなエレクトロニカの世界が広がっています。
自身のアルバムも今年リリースした保刈久明はやはり過小評価されている、と思わざるをえない素晴らしい内容です。世界観を含めた作品の完成度の高さは、新居昭乃のアルバムはもちろんですが、ACOがportable [k]ommunityこと澤井妙治と組んだ名盤『irony』にも迫っていると思います。